競馬を始めたての人も慣れ親しんできた人も、単勝馬券を握りしめて一頭の馬を応援するという経験は少なからずあるのではないのでしょうか。単勝馬券は競馬に関わり続ける限り、避けては通れない馬券です。今回は、単勝をどのように活用していけば競馬で勝てるようになるのかについてレースタイプごとに紹介していきます。
1.単勝の魅力
そもそも単勝とはどのような馬券であるかについて簡単に振り返っておきましょう。
単勝は馬券の基本中の基本で、1着になる馬を当てる馬券です。
単勝の最大のメリットは控除率が有利だという点です。以下の表をご覧ください。
券種 | 単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 | 3連複 | 3連単 | WIN5 |
控除率 | 20.00% | 20.00% | 22.50% | 22.50% | 22.50% | 25.00% | 25.00% | 27.50% | 30.00% |
この表は券種ごとの控除率をまとめたものです。控除率は売上金からJRAが天引きする割合のことなので、数字が小さければ小さいほど的中者に戻ってくる金額が大きいことがわかります。
これを見ると、控除率が一番低いのは単勝と複勝、一番高いのはWIN5 であることが分かります。
単勝や複勝は他の券種より配当が低いことが多いのですが、その分控除率は優遇されているのです。100円をかけ続けたときに75円しか返ってこないものと80円返ってくるものがあれば、80円返ってくる方を選びたくなりますよね。控除率が低いと全体的な収支も75%ではなく80%に近づいていくので、回収率が100%を超える可能性が高まります。勝てる可能性という点では少しでも控除率が低いものを選びたいところです。
もう一つの魅力は、単勝は堅実だということです。以下の表は16頭立てと仮定した時の各券種の的中確率を表したものです。
券種 | 的中組み合わせ数/総組み合わせ数 | 的中確率(%) |
単勝 | 1/16 | 6.25 |
複勝 | 3/16 | 18.75 |
枠連 | 1/36 | 2.78 |
馬連 | 1/120 | 0.83 |
馬単 | 1/240 | 0.42 |
ワイド | 3/120 | 2.50 |
三連複 | 1/560 | 0.18 |
三連単 | 1/3,360 | 0.03 |
WIN5 | 1/1,048,576 | 0.00026 |
応援馬券 | 3/16(複勝) | 18.75 |
これを見ると、単勝と複勝の的中率の高さが際立っています。単勝では勝ちそうな馬1頭だけ、複勝に至っては3着以内に入りそうな馬を1頭ピックアップすればよいので的中率が高いのは当たり前ではあります。特に単勝は複勝よりも確実に配当を得ることができるので、的中率と回収率の両方を追い求める上ではより魅力的だと考えられます。
2.単勝を買うべきレース
単勝に大きな魅力があることを理解したところで、どのようなケースで単勝を買えばいいのかについて解説していきます。単勝はシンプルな馬券で当てやすい一方、配当があまり高くはないため、外れが続くとマイナス収支をなかなか抜け出せなくなってしまいます。そこで、単勝で勝負すべきレースを知ることで当てるべき時に着実に当てることを目指していきましょう。
1.危険な1倍台がいるとき
単勝を買う時に重視すべきことは、どの馬が勝つかを見極めることです。これは単勝だけでなく、どんな馬券を買う上でも不可欠な事項ですね。
見極める中で、1番人気が信頼できるかどうかは重要な予想ポイントとなってきます。特に、単勝オッズが1倍台のときは相馬眼が試されると言っても過言ではないでしょう。単勝オッズが1倍台のとき、勝率は50%、連対率は75%、複勝率は80%が目安だと言われています。さらに1倍台前半であれば、勝率60%、連対率80%、複勝率90%となり一段と信頼が増します。複勝ならばオッズがつかないとはいえ、単勝1倍台前半の場合即買いといってもいいです。
しかし、単勝勝負となると状況が一変します。単勝1倍台前半での勝率が60%ということは、裏を返せば5回中2回は勝てないということなのです。もし、単勝1.4倍の馬を100円ずつ5レース購入したとすれば、的中3回で外れが2回となります。すると払戻金は140円×3レース=420円となりトリガミになってしまうのです。
1倍台後半まで含めて考えても結果は同様になります。つまり、単勝1倍台の馬がいる時にはその馬が勝ち切れるのか、惜しくも2,3着に敗れるのかを考える必要があります。過去の実績などから勝ち切れると予想した場合、そのレースで単勝を買うのは見送りましょう。なぜなら勝率が50%というリスクに対して1倍台というオッズは利益が見合わないからです。
逆にその馬が負けると予想した場合、他の馬の単勝をしっかりと買いましょう。1倍台の馬がいるということは他の実力馬のオッズは実力以上に美味しいものとなります。
例えば、2020年の安田記念では単勝1.3倍に支持されたアーモンドアイが2着に敗れました。勝ったグランアレグリアは3番人気にもかかわらず、単勝12.0倍ものオッズがつきました。このレースの時点でこの後のグランアレグリアの活躍が予見できるわけではありませんが、秋にはこの馬が単勝1倍台になっていたことを考慮するとこれは美味しすぎる馬券ともいえます。
2.オッズが割れているとき
続いて紹介するのは、1とは全く違うケースでオッズが割れているときです。ローカルG3などでよく見られる光景ですが、実力が均衡した馬が揃って出走することで単勝オッズが割れることがあります。1番人気が4倍を超えていれば大混戦といってよいでしょう。
こうしたケースでも単勝が効果を発揮します。なぜなら、相手やヒモを考えずとも十分に儲けることができるからです。それなりの人気馬がいる場合、その馬を本命にすると単勝だけでは儲けきれないときがあります。そうしたときは2,3着を考えて他の券種を買うことになるのですが、もし混戦であればむしろ単勝一本勝負が効きやすくなります。
おススメの狙い目は夏のローカル重賞です。3歳馬のそれなりの実力馬と古馬が初対戦するため、評価が難しくオッズが割れやすくなります。
例えば、2020年の新潟記念では1番人気のワーケアが4.3倍、2番人気のブラヴァスが5.0倍などとなっていました。結果的に、ワーケアは10着に敗れ、ブラヴァスが勝利しました。ブラヴァスは前走の七夕賞でも2着と好走しており、買いたい人も多かったはずです。その中でも5倍のオッズがつくのはそれだけで十分買う要素になると言ってよいです。
3.騎手買いができるとき
単勝では鞍上によって買うかどうかを決定することもできます。複数の馬が絡む連単系の馬券だと、騎手で着順を評価するのは難しくなってしまいます。できるとしても、馬券内に届くか届かないかの判断くらいです。しかし、1着のみを見る単勝であれば買える騎手と買えない騎手がはっきりとしてきます。
代表的な例は、ルメール騎手です。現在日本で一番うまい騎手といっても過言ではないでしょう。年間200勝を達成していることが彼の実力を示しています。しかし、ルメール騎手ともなればどのレースでも上位人気になってしまいます。そこで、彼の得意なレース形態と苦手なレース形態を見ながら判断する必要があります。
例えば、彼の場合1番人気以外でのダートレースは比較的結果が残せていないと言えます。芝とダートの全体的な勝率で見ると、ダートの方が高いのですがダートで勝利しているのはほとんどが1番人気のときです。2番人気以下のときは、勝ち切れていないことも多く、ルメール騎手が乗っても1番人気にならないという点で単勝では買いにくいと言えます。
別の例で、川田将雅騎手を見てみましょう。川田騎手は日本人騎手ではトップクラスの実力です。しかし芝のG1レースでは有力馬に騎乗しながらも2018年のスプリンターズステークスから2020年のジャパンカップまで勝利できていません。一方、ダートグレード競走では2020年だけで10勝(12月15日現在)と2位の3勝を大きく引き離しています。川田騎手の場合、買えるレースと買えないレースがはっきりしていると言えます。
3.まとめ
以上、単勝の魅力と買うべき場面について解説してきました。単勝は当てやすいものの配当がつきにくい馬券なので上記のようなケースで着実に的中を積み重ねていくことが大切です。また、収支を度外視するのであれば1点に1万円というような馬券を買っても良いですが、勝つための勝負として考えるならば極端な額を張ることは絶対にやめるべきです。
意地よりも着実な回収を狙うことが単勝で勝つための第一歩であることを頭の中に入れつつ、1着を当てる喜びを味わっていきましょう!