枠連といえば、競馬初心者の方にとっては最も地味な馬券であり、何十年も慣れ親しんできた方にとっては懐かしいという感情を抱く馬券ではないでしょうか。今でこそ枠連は全券種の中でも最もシェア率の低い券種の一つとなってしまいましたが、使い方を工夫すれば大きな魅力を発揮する馬券でもあります。
今回は、枠連に秘められた魅力とおすすめの買い方を徹底的にご紹介します。
目次
1.枠連とは
そもそも枠連とはどのような馬券なのでしょうか。特に初心者の方にとっては本当になじみが薄い馬券だと思われますので、ここで理解を深めていただきたいです。
枠連は、1着の馬の枠番号と2着の馬の枠番号の組み合わせを当てる馬券です。日本の競馬では、出走する馬には馬番号と一緒に枠番号というものも指定されます。
例えば、「1枠1番」や「8枠14番」といったような言葉を聞いたことがあるかもしれません。枠連ではこの「〇枠」の部分の組み合わせを当てます。1着と2着の着順は関係ないので、仮に1-5の枠連を買っていれば、1着1枠2着5枠でも1着5枠2着1枠でも的中となります。また、買った枠に2頭の馬がいる場合は、そのどちらが1着ないしは2着になっても的中となります。
枠に何頭の馬が入るかは、そのレースの出走頭数によって変わります。例えば、8頭立てのレースであれば1枠1頭ずつとなり枠連は発売されません。馬連と同じ結果になり、発売する意味がないからです。一方、16頭立てのレースであれば、1枠に2頭ずつ入ります。では、12頭立ての場合はどう分けられるのでしょうか。この場合、1枠から4枠までは1頭ずつ、5枠から8枠までは2頭ずつ入ります。出走頭数が増えると、外枠から同枠に入る馬が増える形になっているのです。
また、レース中は枠を帽子の色で判別します。
日本の競馬では、枠番ごとに帽子が以下の表のように定められています。競馬実況を聞いていると「赤い帽子の○○が来た!」というような実況を耳にすることがあるでしょう。この赤い帽子というのは3枠の馬ということを表しています。
枠番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
色 | 白 | 黒 | 赤 | 青 | 黄 | 緑 | 橙 | ピンク |
2,枠連の魅力
枠連の魅力はやはり当てやすさと配当のバランスが良いことにあります。枠連に似た形態の馬券として、馬連とワイドがあります。これらの当てやすさと配当の関係をまとめると、
- 当てやすさ 馬連<枠連<ワイド(馬連がいちばん難しい)
- 配当 ワイド<枠連<馬連(ワイドがいちばん配当が低い)
となります。なぜこのようになるかは、券種の仕組みを考えれば簡単です。
ワイドは1~3着馬の中から2頭の組み合わせを着順に関係なく当てる馬券です。馬連は1,2着馬の組み合わせを着順に関係なく当てる馬券です。そして枠連は1,2着馬の枠番号の組み合わせを着順に関係なく当てる馬券です。
これらの仕組みから的中確率を考えると、上のような比較になることがよくわかります。
このように、枠連は馬連とワイドの中間に位置する馬券だと考えることができ、的中率と回収率のバランスを考える上でも多少工夫すれば十分に活用できる券種だと言えます。
3.枠連のおすすめシーン3選!
それでは、枠連のおすすめの買い方を3つピックアップしてご紹介します。枠連独自の魅力を最大限に引き出すためには、買い方に変化を加える必要があります。馬連でもワイドでも抑えきれないような微妙な隙間を埋めていくのが枠連のイメージですので、買い方も自然と両者の間を取ったような形になります。
1.同枠に人気馬が入ったときの流し
まず抑えておきたい買い方が、枠連流しです。馬連でもワイドでも流しはおすすめできる買い方の一つですが、枠連流しは買い方のコツを理解できるとコスパの良い選択肢になります。
枠連で流しを使うのは、同枠に人気馬が入ったときです。
例えば、16頭立てのレースで1番人気が「4枠8番」に入り、2番人気が「4枠9番」に入ったとしましょう。相手は他の枠に入っている中穴程度の馬で数頭選択したとします。本命が1番人気の馬だったら多くの人は8番から各相手の馬番へと馬連の流しを買いたくなります。もちろん、馬券の買い方としては全く間違いではありません。しかし、もし1番人気が3着、4着と飛んでしまったときに、その馬券は流しで勝っている以上確実に外れてしまいます。
そのようなケースで少しでもリスクヘッジできるのが枠連流しです。特に、同枠に人気馬が入っている場合、1番人気が飛んでしまっても2番人気が1着か2着に入る可能性が十分にあると考えられます。「人気馬の枠―相手の枠」という形を馬連に置き換えると、「1番人気―相手」と「2番人気―相手」の馬連をまとめて買っていることと同じになります。
つまり、馬連だと軸馬の1頭を全力で信頼するしかないのに対し、枠連だと同枠の2頭を信頼すればいいので的中の可能性がグンと上がります。それでいて、枠でまとめて購入する形になるので点数を減らすことができます。さらに、もし相手の馬どうしが同じ枠に入っていた場合は、相手の点数も減らすことができるのでさらにオトクになります。
2.馬連よりオッズが有利なとき
続いて抑えておきたいのはオッズ比較です。1の中で配当の順番について、ワイド<枠連<馬連と述べました。ほとんどのケースではその通りなのですが、実は稀に順番が逆転する場合があります。特に1番人気のとの枠連は要チェックです。
具体例として2020年のジャパンカップを見てみましょう。このレースは史上初めての3冠馬3頭の共演として世界からも注目を集めました。結果として、1番人気の2番アーモンドアイが1着、2番人気の6番コントレイルが2着、3番人気の5番デアリングタクトが3着と3冠馬が人気通りに入りました。このようなレースになったことで、三連単の配当はG1史上最低の1340円となり、他の馬券も軒並み低配当となりました。
馬連も例外ではなく、2-6の馬連はもちろん1番人気で330円という低配当でした。こうなると枠連はもっと安い払戻金になると予想されます。しかし、実際の2-4の枠連は350円でした。低配当なのは間違いないのですが、同じ1番人気でも馬連より配当がついていたのです。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。一つの大きな要因には、枠連のシェア率が異常に低いことがあります。枠連が地味に感じる理由として、そもそも売り上げ規模が小さいことがあり、実際に馬券の総売上額に占める枠連の割合は3%強しかありません。馬連が14%、ワイドでも8%あることを考えるととにかく規模が小さいことがわかります。
この規模の小ささにより、少しの投票でオッズが変動してしまいます。そのため、誰かがそこまで人気のない組み合わせに大口投票をすると、人気の組み合わせのオッズは上昇しやすいのです。その結果、締め切り時には馬連より枠連の方がオッズが高いという逆転現象が生じます。
時間に余裕がある時は、締め切りギリギリまで馬連と枠連のオッズを比較するのが良いでしょう。
3、人気馬が信頼しにくいときの抑え
枠連は人気馬が同枠に入ったときにも使えますが、人気馬と穴馬が同枠に入ったときも使えます。ただし、このときは馬連や単勝・三連単をメインの馬券として枠連は抑えとして使います。
人気馬を絶対的に信頼できるときは正直なところ枠連は必要ありません。しかし、人気馬をそれなりに信頼できるけれど、もしかしたら思いっきり飛ぶかもしれないといった微妙な信頼度のときには枠連を使いましょう。基本的には、人気馬が入っている枠と相手の馬の枠を選ぶだけで問題ありません。
あくまで抑えなので、流しというよりは通常投票で2~3点選ぶくらいがちょうどよいです。もし人気馬が飛んで「相手+同枠の穴馬」のような決着となれば、メインの馬券は外れてしまいますが枠連が的中となり、大負けを防ぐことができます。もちろん、人気馬が入っている枠なので穴馬が来ても枠連の配当はあまりおいしいものとなりませんが、抑えとしては十分です。
4.まとめ
以上、枠連の魅力とその魅力を活かしたおすすめの買い方について説明してきました。使う人は少ないですが、だからこそ独り勝ちできる可能性のある馬券が枠連です。
競馬初心者の方は初めてのチャレンジとして、長年親しんできた方は数十年前を懐かしみつつ枠連を購入してみてはいかがでしょうか。