テレビ・ラジオでの著名人の競馬予想やツイッター・ブログなどでの予想家たちの予想など巷にはたくさんの予想があふれています。そして、その多くが予想だけでなく買い目の紹介も含んでいます。そうしたものを目にすると、私たちは「この人の買い方は上手い」とか「この人は下手な買い目だ」などと買い方を上手いか下手かで評価しがちです。
では、実際にはどのような買い方が上手く、逆にどのような買い方が下手なのでしょうか。
今回は自分の買い方をいかに上手いものにするかを考えていきます。
目次
1.上手い買い方とは
そもそも、競馬における上手い買い方とは何なのでしょうか。最もシンプルな考え方としては「儲かる買い方」であり「勝てる買い方」であると言えます。競馬をやる以上、勝てるように買っていくのは当然の目標です。
では、「勝てる買い方」とは何なのでしょうか。
競馬における勝ちを計るには2つの指標があると考えられます。「的中率」と「回収率」です。どちらも意味自体は読んで字のごとくなので誰でも理解できるでしょう。的中率が低くても、一回あたりの配当がとても大きければ回収率が100%を超える可能性は十分にあります。逆に、的中率が非常に高くても、当てている馬券が1倍台ばかりで回収率はマイナスというケースもあり得ます。
前者はコンスタントに三連単で万馬券を当てたり、1年に1回くらいのペースでWIN5を的中させたりすればあり得るケースです。後者は、半分くらいのレースで複勝を的中させたり、上位人気のワイドを的中させたりすればあり得るケースです。
ただ、回収率ばかり追いかけていると、長期的にプラス収支で楽しめますが短期的には的中しない期間が長く続いてしまい精神的にもストレスが貯まります。逆に、的中率を追い求めて回収率を疎かにしていると、短期的には的中の喜びが増しますが長期的には収支がマイナスとなり競馬を楽しめなくなる可能性もあります。
このように、両極端にどちらかだけを追い求めてもうまく行かないことが多いです。つまり、賢い馬券・上手い馬券とは、的中率と回収率のどちらもそれなりに追い求めて、結果的に収支をプラスにできる馬券なのです。いわば二兎を追って二兎を得ることとも言えます。
2失敗例
では、賢い馬券について説明する前に、失敗例あるあると称して賢くない馬券について少し見ていきましょう。
このような失敗をしてはいけないという意味でも逆の事例を知っておくことは重要だと考えられます。
失敗例その1 相手が来ない
流しやフォーメーションといった二者で成り立つ馬券でよくある失敗です。
特にフォーメーション馬券では、馬券の中心となる軸馬を1,2頭選んだ上で、馬券を組み立てる上で必要な相手を複数頭選択します。
失敗例としてよくあるのは、軸馬は来るけど相手がワイドならどの馬も、三連単なら片方だけしか来なかったというパターンです。こうした失敗が生じる理由は、相手は軸馬に比べて不安定な要素が多いからです。
軸馬を選ぶときには、上位人気であったり、実績が1枚抜けていたりとなにかしらの固い根拠や自信があって選ぶことが多いでしょう。それもそのはず、軸馬が来なければ馬券の当たりようがないですよね。そのため、軸馬は比較的当たりやすくなっています。例えば、1番人気の馬の複勝率は60%程度あるため、無条件で1番人気を軸馬にしても6割の確率で馬券内に来るのです。
一方、相手を選ぶのは簡単ではありません。どの馬も軸馬より信頼できないからです。悩みに悩んだ結果、えいっと決めた相手が飛んでしまうのはある意味では仕方ないこととも言えます。
失敗例その2 軸馬が4着
その1で軸馬が1番人気なら6割の確率で複勝圏内にくると述べました。しかし、裏を返せば10回に4回は1番人気であっても馬券外に飛んでしまいます。思いっきり飛んで10着などであれば吹っ切れて納得できるかもしれませんが、意外とよくあるのが軸馬が4着や5着のケースです。それに加えて上位3頭が全て相手の馬というときもあります。
もちろん、軸馬が飛ぶか飛ばないかはレースが終わってみなければわかりません。ただ、相手の馬が来ていた場合には軸馬の選択を間違えたということです。
3.賢い買い方
それでは、いよいよ賢い馬券の考え方を説明していきます。あくまで、ここで紹介する考え方が全てではありません。それでも、なにも考えずに買うよりは勝ちやすい馬券を組み立てることができるでしょう。
1.控除率を考慮する
控除率は、競馬をやっている人なら耳にしたことがあるはずの言葉です。
簡単にいえば、売上金からJRAが運営費や国庫納付金として天引きするお金の割合のことです。この控除率、実は券種によって少しずつ異なります。
券種 | 単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 | 3連複 | 3連単 | WIN5 |
控除率 | 20.00% | 20.00% | 22.50% | 22.50% | 22.50% | 25.00% | 25.00% | 27.50% | 30.00% |
この表は券種ごとの控除率をまとめたものです。これを見ると、控除率が一番低いのは単勝と複勝、一番高いのはWIN5 であることがわかります。
単勝と複勝はほかの券種より配当が低いことが多いのですが、その分控除率は優遇されているのです。
つまり、すべてのレースを満遍なく購入した場合、三連単の払い戻し率は72%くらいに落ち着きますが、単勝と複勝の払い戻し率は80%前後になります。
もし、年間で各券種に100万円ずつ投資していた場合、三連単は72万円くらいになるのに対し、単勝や複勝は80万円くらいと8万円もの差が出てきます。この控除率の仕組みを理解していれば、単複を中心に馬券を組み立てていくのがベストだと理解できるでしょう。
2.レースを絞る
競馬に限らず何事にも通用する法則として「大数の法則」というものがあります。
大数の法則とは、ある事象が起こる確率pは、試行回数nが増えていくにつれて真の出現確率(理論上の確率)p’に限りなく近づくという法則です。
具体例として、コイントスを考えてみます。
1回投げたとき……表が出る確率1/2
2回投げたとき……表が2回連続出る確率1/4
3回投げたとき……表が3回連続出る確率1/8
……
と表が出続ける確率は減少していきます。裏も同様です。逆に増えてくるのが、表と裏が同じ回数だけ出る確率です。1回目は表と裏のいずれかしか出ませんが、回数を増やせば同じ回数だけ出る確率も上昇します。そして、無限に試行を繰り返すと表が出る確率は50%に落ち着くのです。
この大数の法則は、ギャンブルの世界でよく用いられる考え方です。競馬も例外ではなく、馬券を満遍なく買い続ければ続けるほど回収率が75%に落ち着くのです。つまり、今勝っているからといって調子に乗って手を出す馬券を増やしてしまうと、回収率は一気に下がっていきます。また、今負けているからといって投入資金を増やして回収率を上げても、結局は投資額が回収率を上回ることがほとんどです。
そこで、行うべきことはレースを絞ることです。レースの絞り方は、1番人気が信頼できるレースや荒れそうなレースなど人それぞれでいいと思います。ただ、大切なのは1日最大36レースある中で賭けるレースを少なくとも半分にすることです。むやみやたらに乱れ打ちしてもマイナス収支になる確率を上げているだけです。
本当にプラス収支を狙いたいならば、我慢すべきレースは我慢し挑戦すべきレースに全力を注ぐことです。
3.重視する目標を定める
最後に紹介するのは、買う上での目標の定め方です。
1の項目で、的中率と回収率をどちらも追うことが大切だと述べました。もちろん長期的には両方求めることが必須なのですが、短期的・レースごとの目標を定めることも必要です。そのレースで的中を求めるのか、それとも回収を求めるのかによって馬券の買い方は変わってくるでしょう。的中を求めているのに穴馬から買うことや、逆に回収を求めているのに人気馬ばかりを買うのはお世辞にも上手い馬券とは言えません。
基本的には、1番人気が圧倒的で信頼できるときは的中を目指し、混戦模様のときには高配当で回収を狙えば良いでしょう。ただし、圧倒的1番人気でも信頼できないときや、混戦の中に信頼できる軸がある場合は目標が逆になってきても構いません。いずれにせよ、レースごとの収支が積み重なってその週の収支となり、1年間の収支となっていくことを忘れずに購入することが重要です。
4.まとめ
以上、上手い馬券の買い方について、失敗例も交えながら説明してきました。
控除率や大数の法則など、知っているだけで馬券の組み立て方や購入行動がガラリと変わってくる要素を特に重視しながら紹介しました。これらの法則をしっかりと抑えながら、自分自身の馬券センスを徐々に磨いていくことが、上手い買い方の実戦の第一歩となるでしょう。